2色成形の課題と解決策|品質安定化のためのポイント
2色成形(Two-shot Molding)は、デザイン性・機能性の向上に大きく寄与する一方で、品質を安定化させるための技術的な工夫が求められる成形方法です。
ここでは、現場でよく直面する課題と、その解決策について整理します。
2色成形における代表的な課題
- 樹脂同士の密着不足:一次樹脂と二次樹脂の接着が弱く、剥がれが発生する
- 反り・歪み:樹脂の収縮差や冷却条件により、形状精度が乱れる
- 色ムラ・外観不良:樹脂の流動不良により、外観に色のにじみや段差が生じる
- 金型コストの増加:複雑な構造の金型設計が必要で、初期投資が高額になりやすい
課題への解決策
当社では、以下のような手法を用いて課題解決に取り組んでいます。
1. 樹脂の密着性を高める
- 材料選定時に「相溶性」「接着性」を持つ樹脂を採用
- 金型温度や射出条件を最適化し、界面での融合を促進
- 必要に応じてプライマー処理や表面改質を検討
2. 反り・歪みの抑制
- 流動解析シミュレーションを活用し、樹脂の充填・冷却挙動を事前検証
- 冷却回路の設計やゲート位置を見直し、均一な収縮を実現
- 試作段階での寸法データをフィードバックし、金型修正を迅速化
3. 外観品質の安定化
- 樹脂流動のバランスを可視化し、色ムラや段差を防止
- 光学部品や外装部品では「ゲート位置・射出速度」の細やかな調整を実施
- 検査工程を強化し、AI画像検査による不良早期検知も導入
4. 金型コストの最適化
- 社内で金型内製を行い、外注コストや情報漏洩リスクを削減
- モジュール化設計を導入し、複数製品で金型の一部を共用
- 試作金型を活用して初期投資を分散し、量産移行をスムーズに
実際の効果
これらの取り組みにより、当社の2色成形では以下のような改善を実現しています。
- 樹脂の剥がれ・割れといった不良率を30%以上低減
- 寸法精度のばらつきを抑え、量産歩留まりを95%以上に安定化
- 外観不良の検出・対策により、クレーム件数を大幅削減
- 初期金型コストを抑制しつつ、開発リードタイムを短縮
まとめ
2色成形は多様な可能性を秘めた技術ですが、品質安定化のためには「材料選定」「流動解析」「金型内製」といった多角的なアプローチが不可欠です。
当社はこれらのノウハウを統合し、複雑形状や高精度が求められる製品に対しても、安定した品質とコスト効率を両立しています。
課題解決型のパートナーとして、2色成形に関するご相談をぜひお寄せください。